障害福祉事業におけるサービス提供記録とは?書き方のポイント3つを紹介
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障害福祉事業では、利用者に提供した介護支援内容や心身の状態をサービス提供記録として残す必要があります。 しかし、統一された書式がないため、事業所ごとに用意する必要があります。開業したばかりの事業所などは、どのように記載すればよいかわからない方も多いのではないでしょうか。 そこで、今回は障害福祉事業におけるサービス提供記録の記載方法や作成時のポイントを解説します。サービス提供記録をわかりやすく書ける方法を知りたいという方は、ぜひ最後まで読んで活用してください。
目次
サービス提供記録とは
放課後等デイサービスや訪問介護といった障害福祉事業では、提供した支援サービスや利用者の状態を記録することが法律で義務付けられています。 障害福祉事業の種類によって異なりますが、サービス提供記録の定義や目的、記載する上での注意点を知りたいという事業所の方も多いでしょう。 サービス提供記録を記載する際は、以下の点を踏まえておこなうことが大切です。
- サービスの具体的な内容を記録する
- 利用者の情報を共有する
- 適正なサービスを提供したことを証明する
それでは、個別に見ていきましょう。
サービスの具体的な内容を記録する
サービス提供記録は、介護士が提供したサービスの種類や内容、利用者の観察状況を正確に記録しなければなりません。記録は紙や電子媒体による方法がありますが、最近では電子化が普及し、データで整備・保管をする事業所が増えています。 障害福祉事業は、個別支援計画にもとづきサービスを提供します。そのため、サービス提供記録は、個別支援計画書に沿った形に基づいた記録になっているかどうかが重要です。 サービス提供記録は単に支援した内容をチェックするだけでなく、個別支援計画書にあるニーズや目標達成度合を確認できるように記録しましょう。
利用者の情報を共有する
サービス提供記録は、利用者のケアに関わるスタッフの情報共有に使用されます。もし、サービス提供記録に健康状態などの記載漏れがあれば、不適切な対応をしてしまうことにもなりかねません。 そのため、サービス提供記録は客観的事実のみを記録し、情報共有を徹底することが重要です。利用者の健康状態やケアの履歴を包括的に把握することで、ケアの質の向上につながるでしょう。 施設に預けるご家族は、どのような対応をいつもしているのか、親身になって支援してもらえているのかと気がかりです。サービス提供記録を確認すれば、介護士が利用者に対してどのようなケアをおこなっているかがわかるため、安心してもらえるでしょう。
適正なサービスを提供したことを証明する
サービス提供記録は、適正なサービスを提供したことを証明する重要な書類です。 障害福祉事業サービスを提供する事業所は、報酬を請求する際の根拠を示す必要性があります。そのため、介護事業者は提供したサービス内容や記載すべき項目を正確に記録し、保管しておかなければなりません。 記録不備や提供した事実が記録されていなかった場合、サービス提供の実施事実が確認できないとして介護報酬の返還対象になる可能性もあります。 確実に実施したことを証明するためにも、記録を整備し、残すことが大原則です。実地指導は記録を元に判断されるため、しっかり記載しているか欠かさずチェックしましょう。
サービス提供記録の重要性
障害福祉事業では、利用者に対して実施した支援サービスを記録することが義務 付けられています。 サービス提供記録は、利用者一人一人の課題や現状、目標などを考慮して作成された個別支援計画書に基づき記載します。サービス提供記録は、支援したサービス内容だけを記録する書類ではないことを知っておきましょう。 サービス提供記録は、「支援計画に沿った形でサービスが実施できていること」、「支援の目標に対して具体的な記録があること」を視野に入れて記録する必要があります。あわせて、利用者の健康状態や経過なども記録しなければなりません。 サービス提供記録がない場合、サービスの質の低下を招くだけでなく、法的な問題を引き起こす要因にもなります。不正記録がある場合は、行政処分の対象となる可能性もあることを知っておかなければなりません。
サービス提供記録へ記載する項目
障害福祉事業において必要不可欠なサービス提供記録ですが、記載する項目に決まりはあるのでしょうか。 サービス提供記録には、以下の項目を記載します。
- サービス実施日・提供時間
- 利用者氏名、サービス担当者氏名
- サービス提供の区分・内容
- 利用者の状況
- その他特記事項
障害福祉事業のサービスごとに適正なサービス提供記録の書き方があるため、提供している福祉サービスにあった記録が必要です。 利用者の健康状態など心身の変化の記録、計画に沿ったサービスが実施できているかどうかを重視して記録しましょう。サービス提供記録を活用し、見直していくことが支援の質の向上につながります。
サービス提供記録の書き方3つのポイント
ここからは、サービス提供記録の書き方を学んでいきましょう。大きなトラブルを防ぐためにも、書き方のコツをつかみ、誰が読んでもわかりやすいようにまとめることがポイントです。 ①「だ・である」調で記載する ②5W1Hを意識して客観的に記載する ③利用者・家族に配慮した表現を用いる 上記の点に留意し、サービス提供記録の作成を実践しましょう。
①「だ・である」調で記載する
サービス提供記録は、「だ・である」調で記載しましょう。公的な文書を書くときには、「です・ます調」でなく「だ・である調」で書くのが原則です。 また、それぞれスタッフが自由に記載してしまうと、わかりにくく間違った情報が伝わる恐れがあります。記録するときは、「だ・である調」に統一して記載するとよいでしょう。 適切なサービス提供を記録するためには、誰が読んでも理解できるようにわかりやすく簡潔な文章を書くことがポイントです。情報共有など多くの人が関わることを考え、誤解や不安を与える文章は避け、起こった事実のみを記録するようにしましょう。 記録された内容は、他のスタッフや利用者のご家族も閲覧します。サービス提供の根拠と内容が、良くわかるように記録していきましょう。
②5W1Hを意識して客観的に記載する
5W1Hを意識し、客観的な事実を記載することが記録のポイントです。
- Who(誰が)
- When(いつ)
- Where(どこで)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
上記の点を意識し文章に盛り込むことで、誰が読んでもわかりやすい記録になります。第三者が正確にサービス提供記録を把握するためにも、5W1Hを活用し記録することが大切です。 客観的な事実を書くためには、利用者の様子を良く観察する必要があります。主語が抜けてしまったり、何かあった場合、なぜそのようなことになったのかが理解できないような表現は避けるようにしましょう。 また、介護者の単なる推測や感想は、共有するメリットがないため記録に残す必要はありません。しかし、利用者に変化があり、介護目線で重要だと思われる要素があれば残しておきましょう。
③利用者・家族に配慮した表現を用いる
サービス提供記録は、利用者・家族に配慮した表現を用いることが重要です。サービス提供記録は、利用者や利用者のご家族が見るものという意識を持って、記録するようにしましょう。 避けるべき表現や用語は下記の通りです。
- 侮辱表現や差別的表現(しつこい、ぼけ、勝手に~したなど)
- 指示用語(させた)
- 俳諧や傾眠などの専門用語
利用者への侮辱と受けとられる用語や、人格を否定した表現は使用しないようにしましょう。また、不快感を与える表現や、上下関係を連想させる指示用語にも注意してください。 介護の現場では専門用語を使用しますが、知らない人は理解できなかったり、不安感を与えてしまうことがあります。専門用語は使用せず、わかりやすい表現で記録するよう心がけてみてください。
サービス提供記録作成時の7つの注意点
サービス提供記録を作成する時は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。ここでは、サービス提供記録を作成する上での注意点やポイントを7つ解説します。
- 消えるボールペンや修正テープはNG
- サービス提供時間内に作成する必要がある
- 漏れなく正確に記載する
- 利用者の押印を受ける
- 事実と推測を分けるようにする
- 「特変なし」と記入しない
- サービス提供記録の保管期間は5年間の場合が多い
サービス提供記録は、利用者の支援内容を記録する書類です。利用者に敬意を持って、客観的な事実を簡潔に記載する必要があります。上記の点に留意し、サービス提供記録を作成していくようにしましょう。
①消えるボールペンや修正テープはNG
サービス提供記録を作成するときに、消えるボールペンや修正テープの使用は控えましょう。介護記録は公文書のため、修正する際は二重線を引き、訂正印が必要です。 修正前の文章をわかるようにするのは、記録の改ざんを防止するためです。ボールペンも水性ではなく、油性のものを使用する方が望ましいでしょう。 また、誤字・脱字がサービス記録にあると、他のスタッフや利用者のご家族が見たときに読みづらくなります。丁寧に書かれていないと思われる以外に、ケアの質を問われることにもなりかねないので注意しましょう。
②サービス提供時間内に作成する必要がある
サービス提供記録はまとめて書くのではなく、サービスを提供した時間内に作成する必要があります。しかし、支援業務に時間が取られてしまい、サービス終了前に記録することが難しいケースも少なくないでしょう。 効率的に記載するコツを覚えることで、サービス提供記録をスムーズに作成できます。たとえば、食事や入浴、家事の援助など、場面場面で記録に使える表現や定型文をストックしておくと、慌てずに記録できるでしょう。 介護記録ソフトを使用し、記入漏れやミスを防止し、改善につなげている事業所も多くあるので、様式に合わせた方法を見つけてみてください。
③漏れなく正確に記載する
サービス提供記録の作成に必要なサービス提供日時や利用者氏名、提供内容は、漏れなく正確に記載する必要があります。 前述のサービス提供記録の重要性にもあるように、サービス提供記録は、報酬請求の根拠にも関わる重要な書類です。また、事故などが起こったときに、ケアや利用者の様子が正確に書かれた記録は証拠にもなります。 サービス提供記録は、実地指導や利用者の計画の見直しなどさまざまな用途に使用され、法的な証拠にもなります。自分を守ることにもなるため、情報の漏れがないよう、日々正確な記録をつけていくことが必要なことを知っておきましょう。
④利用者の押印を受ける
作成したサービス提供記録は、利用者の押印を受けます。サービス提供記録は、報酬請求が適正なことを証明するものですが、利用者の押印は法律で定められていません。 法律上定められているのは、利用者に実施したサービスについて確認をとることとなっており、近年では押印欄ではなく確認欄となっているケースも見られます。押印欄になっている場合は押印を受け、確認欄であれば本人が確認したことがわかるサインでも構いません。 近年は、介護保険事業でも急速にICTが普及し、印鑑を廃止して記録を電子化する事業所が増えています。事業所に合った確認方法をとることが望ましいでしょう。
⑤事実と推測を分けるようにする
サービス提供記録を記載する上で重要な点に、事実と推測を分けることが挙げられます。事実と推測が混ざった文章は、間違った解釈や誤解を生みかねません。 日本語の表現には曖昧なものも多く、書かれていることが推測なのか判断が難しいケースもあります。そのため、客観的な事実のみを記載し、主観的な表現や推測は避けるほうがよいでしょう。 サービス提供記録は、他職種やご家族も閲覧する書類です。書くのが難しいと感じるようであれば、他の職員の記録を読むのもよいです。わかりやすいと思った書き方をマネすることで、書き方も向上し、よいサービスにつなげられます。
⑥「特変なし」と記入しない
サービス提供記録の特記事項や自由記述欄に「特変なし」と記入しないようにしましょう。 特変がなかったという情報はありますが、どのような点で変化がなかったのかという視点を持ち、根拠を示すことが必要です。利用者の体調がいつもと変わりないのか、食事の量はどうかなど変化がなかったと感じた理由を書くことが重要です。 日々状況が変化する利用者の心身状態を考えると、全く変わりがないということは考えにくいでしょう。その日に起こった出来事や利用者が発した言葉から気づいたことを記録することで、利用者に寄り添った継続的なケアができます。
⑦サービス提供記録の保管期間は5年間の場合が多い
サービス提供記録の保管期間は、5年間の場合が多いです。障害福祉サービスの記録書類の保存は「完結の日から5年」とされており、事業所にて整備し、保管しなければなりません。 障害福祉事業の運営には、多くの書類が必要です。紙媒体の場合、保管場所の確保が必要になるだけでなく、印刷やファイリングのコスト負担が懸念されます。サービス期間が長くなれば、保存ファイルは増大していくでしょう。 保管期間が5年と長期にわたるため、事務負担軽減や消失リスク対策として、介護記録ソフトの導入を検討する事業所が増えています。介護記録システムの活用により、保管場所の削減や帳票作成を効率よく行えるでしょう。
サービス提供記録の作成は「シエノワ」がおすすめ
サービス提供記録は、紙媒体、電子媒体どちらでも保存できます。近年は、紙の記録からデータで管理をする事業所が増えています。紙は比較的安く購入できますが、業務効率化や災害などの非常時のリスクを考えると、デメリットといえるでしょう。 シエノワの記録システムを活用すれば、利用者の日々の状況を瞬時に確認できます。また、サービス提供記録・情報共有だけでなく、事業所と利用者・ご家族をつなぐコミュニケーションツールにもなります。 サービス提供記録を電子化することで、介護記録の手書きが不要です。さらに、記入漏れや引継ぎなどの伝達忘れもなくなり、ケアレスミスの防止にもなるでしょう。 シエノワを活用して、業務の効率化、質のよい介護サービスを実現しましょう。シエノワを詳しく知りたい方は、下記よりお気軽にお問い合わせください。
まとめ
本記事では、障害福祉事業におけるサービス提供記録の重要性や書き方、作成時のポイントについて紹介しました。 障害福祉事業を運営するにあたって、提供したサービス内容を管理・保管することは重要です。また、正しくわかりやすい記録を残すことで、支援のPDCAを回すことにもつながるでしょう。 適切な記録や情報共有を円滑にするために、介護記録ソフトを活用することも有効な手段です。日々の記録を入力するだけで、必要な書類を作れるため、業務の効率化にもなります。 サービス提供記録の作成でお悩みの方は、シエノワにぜひご相談ください。質の高いサービスの実現を目指して、サービス提供記録ソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
つながる、支える、輪かちあう
障がい者支援システム
「シエノワ」
システムの導入は
実際に操作を
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