介護記録を電子化するメリット・デメリット3選を解説!導入手順も紹介
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近年、介護記録の電子化に対する注目度が高まっていますが、その具体的なメリットやデメリット、導入までのステップを理解していますか?
介護記録を電子化することで、介護人員の不足や業務効率を改善することができます。
この記事では、「介護記録を電子化すると何が良くて、何が難しいのか?」という疑問に答えるとともに、導入プロセスを成功させるためのポイントやその手順まで詳しく説明しますので、電子化の意義を理解した上でスムーズに導入を進めることができます。
介護記録の電子化を検討中の方はぜひ本記事を活用し、業務効率化とサービスの質向上に役立ててください。
目次
介護記録の電子化が求められる理由
介護記録の電子化が求められる理由には、介護業界の人手不足という課題が存在します。
厚生労働省の調査によると、2025年には約三十万人以上の介護人員が不足すると予測されています。
人手不足の課題が浮彫になる中で、介護記録の電子化によって以下のような改善を期待できます。
- 作業工数の短縮が見込める
- 業務の効率化が見込める
ここでは、それらがどう効果を発揮するのか説明していきます。
参考:厚生労働省・第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について
作業工数の短縮が見込める
介護記録の入力、更新作業がデジタル化されることで、手書きや紙ベースでの記録課程が省略され、大幅な時間短縮が可能になります。
厚生労働省が公表しているデータでは、文書の作成時間を30-60分短縮できた施設が27.5%、文書量を1-2割削減できた施設が25.7%あることが確認できます。
また、データの即時性が向上し、リアルタイムでのデータ反映が期待できるため、緊急時の対応速度も向上します。
参考:厚生労働省・ICT導入支援事業 令和3年度 導入効果報告取りまとめ
業務の効率化が見込める
デジタルデータの活用により、職員間での情報共有がスムーズになり、業務における時間のムダが削減されます。
厚生労働省が公表しているデータでは、介護業務の時間を30〜60分増加できた施設が15.2%存在し、情報共有の円滑化を実感している施設は88.0%にものぼります。
また、適切なデータ管理システムを導入することで、過去の記録に簡単にアクセス可能となります。
これにより、利用者の総合的なケアプランの策定が迅速かつ精緻におこなえるようになります。
参考:厚生労働省・ICT導入支援事業 令和3年度 導入効果報告取りまとめ
介護記録を電子化するメリット3選
介護記録の電子化によって、スタッフの業務効率を改善できることを説明しました。
その他にも、利用家族や施設に対して、さまざまなメリットがあります。
- 職員・利用者家族への情報共有が簡単にできる
- 介護業務時間が増加する
- 電子保存のため保管場所を取らない
ここでは、介護記録の電子化がどのようにこれらの効果をもたらすか、詳細に説明します。
職員・利用者家族への情報共有が簡単にできる
電子記録システムにより記録はデジタル化され、インターネットを通じてどこからでもリアルタイムでアクセス可能です。
これにより、事業所の内外で迅速に状況を把握することができ、職員間だけでなく、利用者家族間での情報共有も簡単にできるようになります。
従来の紙を使用した情報共有の場合、共有するデータの整理や印刷といった手間が必要でした。電子記録をデジタル化することで、見せたい情報をその場で提示できるため、こうした手間と時間を省略でき、サービスの質の向上に繋げることができます。
また、関係者から他のデータに関する質問を受けたときも、システムでデータを一元管理しているため、その場で別データを引っ張り出すことができ、柔軟に対応できます。
介護業務時間が増加する
介護記録を電子化することで、過去のデータを参照したい際に浪費する「データを探す時間」を大幅に節約できます。
また、紙のドキュメントを減らすことで、得たい記録とは異なる書類を取り出してしまったり、他のお客様のデータを間違えて参照してしまったりといった人為的なミスの抑制にも繋がります。 記録作成を自動化できるツールもあり、介護職員が手動で入力する時間を省略可能です。
記入漏れや、記入を後回しにして残業になるといったことも防ぐことができ、介護職員のストレス低減も期待できます。
介護職員がより多くの時間を利用者と直接向き合うケアに充てられるため、サービスの質の改善を実現できます。
電子保存のため保管場所を取らない
紙の介護記録を電子化することで、大量のファイルや書類を保管する必要がなくなります。
物理的なスペースを必要とするファイルキャビネットや書類保管所の代わりにデジタルストレージを利用するため、場所を取る心配がありません。
また、電子化された介護記録はデジタルデータとして保存されるため、簡単に複製やバックアップを作成することができます。紙の記録の場合、複製やバックアップを作成するには手間やコストがかかりますが、電子化された記録ではデータのコピーを作成するだけで済みます。
これにより、データの損失や紛失を防ぐことができます。 以上のように、介護記録の電子化によって空間的なメリットが得られます。
空間活用の効率を向上し、作業効率を改善することが可能です。
介護記録を電子化するデメリット3選
ここまで電子化によるメリットを説明してきましたが、一方で導入における以下のようなデメリットも存在します。
- 導入にコストがかかる
- 職員全員が操作を覚えなければならない
- 個人情報漏洩のリスクがある
これらのデメリットについて詳細に説明します。内容を十分に理解し、適切な対策を講じた上で介護記録の電子化を検討することが重要です。
導入にコストがかかる
電子化システムの導入には、初期投資が必要です。新しいソフトウェアやハードウェアの導入、システムのカスタマイズなどに費用がかかります。
サーバーのメンテナンス、データベースの管理、セキュリティ対策なども費用がかかるため、継続的なコストが必要です。
また、介護職員がシステムを活用できるよう、運用体制の構築も必要です。システムの操作方法やデータ入力の方法などを学ぶためのトレーニングプログラムを実施する必要があり、これには時間やコストがかかります。
これらのコスト的なデメリットを考慮して、介護記録の電子化を検討する際には、十分な費用対効果の分析が重要です。
導入メリットとコストのバランスを慎重に検討し、最適な導入計画を立てましょう。
職員全員が操作を覚えなければならない
介護記録の電子化により、職員はデータ入力の手順、システムの機能、セキュリティ対策などを学ぶ必要があります。
高齢の職員やテクノロジーに不慣れな職員にとっては、新しい技術の習得に時間がかかる場合があります。
また、こうした電子化システムでは、アップデートなどにより業務プロセスや作業フローが大きく変化する場合があります。職員はこれらの変化に適応する必要があり、新しいシステムやプロセスに対する抵抗感やストレスが生じる可能性があります。 職員による操作ミスや、システムエラーが発生するリスクもあります。
誤った情報が記録される可能性があるため、正確な記録を保持できるようあらかじめ対策を考えておくことが重要です。
個人情報漏洩のリスクがある
電子化された介護記録は、ハッカーや不正アクセス者による情報漏洩のリスクもあります。
具体的には、システムやデータベースへの不正アクセスや、データの盗難、ハッキングなどのセキュリティ侵害が発生する可能性があります。
また、悪意のある職員がいる場合、個人情報を不正にアクセスしたり、情報を盗み出したりするリスクがあります。ただ、閲覧できるデータを職員によって制限できるツールもあるので、うまく機能を活用して万が一に備えることも可能です。
個人情報の漏洩やセキュリティ侵害が発生した結果として、介護施設や関連機関の信頼性が低下する可能性があります。被害者やその家族からの信頼喪失や法的な問題が生じる可能性もあるので、セキュリティには細心の注意が必要です。
介護記録を電子化する6つの手順
説明したデメリットでもわかるように、介護記録の電子化をスムーズに進めるには、しっかりとした準備が重要です。ソフトウェア、ハードウェアの選定においても、事業所の課題を明確にして実施することで、導入効果を最大化できます。
ここでは、ソフトウェアの選定基準も含めた、介護記録の電子化のための、以下の6つの手順をご紹介します。
- 導入計画を作成
- ソフトウェア・機器を選定
- 電子化に伴う業務プロセスの見直し
- 導入・定着・運用体制を整備
- 職員の研修
- 補助器の活用
①導入計画を作成
まずは導入計画を作成しましょう。事業所の業務における課題を抽出することで具体的に何を電子化すればいいか明確になり、その後のソフトウェア選定の基準にできます。
課題抽出の際は、スタッフにヒアリングをおこなうなどしてニーズを確認することがおすすめです。
これにより、導入後の「期待していた機能がない」といったトラブルを防げます。
②ソフトウェア・機器を選定
導入計画の作成時に抽出したニーズを解決できるソフトウェア・機器を選定しましょう。
加えて、現場のスタッフが扱えることへの考慮が重要です。 選定の際は、システムの機能、コスト、サポート体制、セキュリティといった評価軸のほかに、使いやすさ、必要な機能のサポートの有無なども確認するようにしましょう。
ベンダーの信頼性や導入実績も確認しておくと安心です。 介護記録の電子化において本ステップはとても重要です。十分に比較検討した上で、複数人で性能や適正を確認して失敗のない選択をしましょう。
③電子化に伴う業務プロセスの見直し
電子記録導入により、既存の業務プロセスを変更する必要があります。既存の業務プロセスを見直して不要な手順や新たに必要な手順を追加し、新しいプロセスを設計しましょう。
効率化できる業務の例として、日報の自動生成や、シフト管理の自動化などが挙げられます。これらの担当者変更の必要性や、効率化によって生まれる人員、または時間の余剰の活用方法も議論しておきましょう。
これにより、電子記録の導入の際の混乱を抑え、スムーズに運用開始できます。
④導入・定着・運用体制を整備
導入初期には技術サポートチームを設置し、障害が発生した場合に迅速に対応できるようにしましょう。
具体的には、システム管理者や操作方法をマスターしているトレーナー、ユーザー側の画面を確認する担当が挙げられます。 うまく扱えずに導入して終わることがないよう、電子化プロジェクトの計画とスケジュールを策定しておくことも重要です。
ベンダーに必要なリソースと期間を確認しておきましょう。 また、システムを定期的にレビューし、システムのさらなる改善点を議論することも重要です。
⑤職員の研修
職員が新システムを効果的に使用できるように、具体的な操作方法やトラブルシューティングの方法を網羅した研修を実施します。
研修はわかりやすいケーススタディを用いて、実際の使用シナリオに基づいておこなうとより効果的です。
導入後は、システムの運用状況をモニタリングし、職員や利用者からのフィードバックを収集しましょう。問題や課題が発生した場合には、適切な対策を講じてシステムやプロセスを改善することが可能です。
⑥補助金の活用
国や地方自治体が提供する補助金プログラムを利用することで、導入初期の費用を大きく削減できる可能性があります。
たとえば、東京都では「デジタル機器導入促進支援事業」があり、最大260万円で対象経費の補助をおこなっています。
補助の有無や上限金額は自治体によって異なるため、地域のホームページなどで最新の情報を確認しましょう。
参考:公益財団法人 東京都福祉保健財団・令和5年度デジタル機器導入促進支援事業
介護記録の電子化を成功させるためのポイント
前項で導入手順をご説明しました。介護記録の電子化を成功させるポイントとして、それを利用する関係者の理解を得ることも重要です。
具体的には、以下2点のプロセスが挙げられます。
- 関係者や利用者家族の理解を得る
- 職員への研修の徹底と導入後フォロー
ここでは、それぞれを実施すべき理由と方法について詳細に説明します。
関係者や利用者家族の理解を得る
介護記録の電子化は、利用者の家族や外部の業者といった関係者全員の協力が不可欠です。
スタッフだけでなく、介護記録を扱う関係者全員に導入の旨を伝えましょう。 伝え方としては、パンフレットの配布や説明会の開催などがあります。リアルタイムで情報共有ができるメリットや、デバイスの操作方法、注意点などを整理しておきましょう。
これにより、急な変更に対する不満や、操作に苦戦してストレスを与えることを防げます。電子化の利点と期待される変更点について十分に説明をおこない、運用開始時のトラブルを低減しましょう。
職員への研修の徹底と導入後のフォロー
職員がシステムを効果的に利用するには、適切な研修が必要です。基本操作や高度な機能の操作、トラブルシューティングなどの研修は必ずおこないましょう。
また、導入後の定期的なフォローアップ研修をおこなうことも重要です。運用する中で直面する問題に迅速に対応できるよう、システムの提供会社に事前に相談をしておくことで、円滑に運用できます。
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まとめ
介護記録を電子化することには多くのメリットがありますが、導入にはコストや個人情報の管理といった懸念事項が存在します。
しかし、作業の効率化や情報共有の容易さなどを考えると、これらの課題を解決する方法を見つける価値は十分にあります。
導入手順を慎重に計画し、適切な研修とサポート体制を整えることで、効果的な介護記録の電子化を目指しましょう。
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