介護にITが必要な理由とは?進まない課題と導入メリットを事例を加え解説
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業務効率化や生産性向上を目的として、多くの企業でIT化が進んでいます。
介護業界においてもIT化が叫ばれていますが、製造業や小売業など他の業界に比べIT化が遅れていると言われています。介護事業所の中にはIT化を検討しているものの、どこから手をつければ良いかわからないと言った施設も多いでしょう。
そこで今回は、介護にIT化が必要な理由や普及を妨げている要因について解説します。介護業界のIT化は、業務効率化や介護サービスの質の向上など、多くのメリットをもたらします。
IT化を成功させるためのポイントも解説しますので、これから導入を考えている事業所はぜひ参考にしてください。
目次
介護業界にIT化が必要な理由とは
介護業界にIT化が必要な理由は、以下の通りです。
・人手不足の深刻化
・業務の効率化
・介護サービスの質向上
IT化はあらゆる業種で求められており、介護業界も例外ではありません。介護現場でIT化が推進される大きな理由に「人手不足」が挙げられます。介護業界では、少子高齢化による労働人口の減少や高齢者数の増加で、慢性的な人材不足に陥っています。
さらに、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる「2025年問題」も近い将来の課題です。人口の超高齢化で介護人材が不足し、医療や福祉、雇用に大きな影響が出ると予想され早急な対策が求められているのも理由です。
介護業界のIT化は、業務効率化を実現し、働き手の不足を補うために重要な役割を担っています。職員の身体的・精神的負担を軽減し、介護サービスの質向上に大きく貢献します。
介護現場でIT化が進まないとどうなる
介護業界でIT化が進まないと、さまざまな悪影響を及ぼす恐れがあります。
- 人材採用が困難になる
- 離職率の増加
- 介護事業所の収入減少
IT化が進まないと上記のような問題が発生する可能性があります。IT化が進まない事業所では、IT知識のある若い世代が活躍できず人材採用が難しくなります。
人手不足により業務負担が増大するだけでなく、職場環境の悪化や離職の増加にもつながりかねません。そのため、ITを活用し、働きやすい職場環境を整えることが重要です。
厚生労働省では、介護現場におけるIT化やICT化を推進しています。2024年度の介護報酬改定では、介護機器やICT機器の導入・活用を要件とする「生産性向上推進体制加算(I)(II)」が新設されました。
また、LIFE(科学的介護情報システム)を活用した科学的介護推進体制加算などもあり、IT化は事業所の収益にも関係するということを知っておきましょう。
(参照):厚生労働省令和6年度介護報酬改定について
(参照):厚生労働省科学的介護情報システム(LIFE)について
(参照):厚生労働省介護テクノロジーの利用促進
介護業界のIT化が進まない課題
介護事業所のIT化が進まない課題は、以下の3点です。
- システム導入にコストがかかる
- 職員のITスキルや知識が不足している
- 業界の法的・規制上の問題がある
介護現場のIT化は、事務作業の効率化や職員の負担経験、介護サービスの質向上など多くのメリットをもたらします。しかし、IT化を進めるためには上記の課題を解決する必要があります。それでは個別に見ていきましょう。
システム導入にコストがかかる
介護業界のIT化が進まない要因に、システム導入にコストがかかることが挙げられます。
業務負担の軽減を目的に、IT化を進めたいと検討している事業所も多いでしょう。しかし、予算が限られていることもあり、導入に踏み切れない事業所が存在するのも現実です。
システム導入には、パソコンやタブレット、ソフトウェア、ネットワーク環境などが必要です。また、導入費用以外にメンテナンスなどの維持費がかかることも忘れてはいけません。
将来的にIT化を考えているのであれば、IT導入の補助金を活用することをおすすめします。補助金を活用することで、IT導入費用の負担を減らすことが可能です。
職員のITスキルや知識が不足している
IT機器を使用する職員のスキルや知識が不足していることも、IT化が進まない要因です。慢性的に人手が不足している事業所では、通常業務に精一杯で教育や研修に割く時間がとれないというケースも多いでしょう。
またIT機器に慣れていない職員がいる場合、システム導入に抵抗感を持ってしまうことがあります。そのため、IT化を検討する場合、従業員の理解と協力を得ることが重要です。
IT化をスムーズに進めるためには、ITスキルの習得や情報管理などの研修体制を充実させることが必要です。
業界の法的・規制上の問題がある
介護現場でIT化が進まない理由に、業界の法的・規制上の問題が挙げられます。
介護業界ではサービスを提供する際に、遵守しなければならない法律や規制が多くあります。利用者の個人情報や利用状況など職員間で共有することも多いため、個人情報や介護記録などの管理・保護は慎重に取り扱わなくてはなりません。
データの場合、Web上でやりとりすることも多いため、情報漏洩などのセキュリティ対策も必要です。IT化の導入にあたっては、個人情報の扱いやリスクヘッジの知識が必要になることを知っておきましょう。
IT化をスムーズに進めたい、電子データを活用し介護の質を高めたいという方は、シエノワをぜひご活用ください。
介護現場のIT導入による3つのメリット
介護現場のIT導入によるメリットは、以下の3点です。
- 業務効率化で職員の負担軽減につながる
- 業務連携と情報共有の円滑化が図れる
- 介護サービスのクオリティーが高まる
介護現場では、サービス提供以外に多くの業務があります。帳票整備や記録作業に時間がかかり、業務に課題を抱えている事業所も多いでしょう。
IT化を行うことで上記のようなメリットが期待できます。IT化を検討している事業所は、得られるメリットを理解し、施策に取り組んでください。
業務効率化で職員の負担軽減につながる
IT化の導入により、業務効率化が実現し、職員の負担軽減につながることがメリットとして挙げられます。
記録業務の事務作業がIT化されることで、転記ミスや記録時間の短縮につながります。事務負担が少なくなり、残業時間の削減にもつながるでしょう。
近年では、スマートフォンやタブレットによる介護記録ソフトを利用する施設が増えてきました。訪問介護に行った際、事務所に戻らなくても介護記録を作成できるようになり、記録業務を大幅に削減できた事業所の例もあります。
事務作業に割く時間を削減できれば、多くの時間を利用者のサービスに充てることができるため、ケアの質の向上が期待できます。
業務連携と情報共有の円滑化が図れる
IT化により、介護事業所と病院、関連機関との業務連携と情報共有の円滑化が図れることもメリットの一つです。
介護現場においては、瞬時に情報共有や業務連携が求められることも多く、紙媒体や電話では情報共有に時間がかかります。IT化で一元管理されたデータを活用し、情報共有がスムーズにできることは大きなメリットと言えるでしょう。
IT化により職員がリアルタイムで情報共有しながら協働できるため、緊急時にも迅速な対応が可能になります。自己判断や伝達漏れ、周知不足によるヒューマンエラーの低減にもつながるでしょう。
介護サービスのクオリティーが高まる
業務の効率化により、介護サービスのクオリティーが高まることもメリットです。
IT化により情報共有・連携がスムーズになれば、利用者のニーズに合った適切なサービスが提供できます。
人手不足の場合、見守りシステムを導入すれば、利用者の健康状態や状況をリアルタイムに確認することが可能です。職員にもゆとりが生まれ、ケアに集中できることもサービスの向上につながります。
また、利用者や家族と情報共有ができるコミュニケーションツールの利用も役立ちます。介護サービスのクオリティーが高まることは、介護事業所の収益の向上やイメージアップも期待できるでしょう。
介護現場のIT導入によるメリットをさらに詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
介護記録ソフトを導入する4つのメリット!主な機能や選び方も解説
介護現場でのIT導入・活用事例3選
介護現場のIT化と一口にいっても、活用方法はさまざまです。介護現場におけるIT化の活用事例を知りたいという方も多いでしょう。
介護現場におけるIT導入・活用事例には、次のようなものがあります。
- 勤怠管理システムを導入し事務作業の負担を軽減
- オンラインを導入し気軽に家族との面会を実現
- 見守りシステムを導入しスタッフの迅速対応を可能に
コロナ禍以降、オンラインを導入した面会システムや家族と職員とのコミュニケーションツールの活用事例が増えています。これからIT化を検討している事業所は、上記の活用事例を参考に、自社業務に合ったシステムを採用しましょう。
1:勤怠管理システムを導入し事務作業の負担を軽減
介護事業所専用の勤怠管理システムを導入することで、勤務管理やシフト作成などの事務作業の負担を軽減することができます。
介護業界は勤務形態や働き方が複雑なため、管理を楽にしたいという担当者もいることでしょう。また、人員配置基準や加算用件のルールがあるため、人為的なミスも起こりやすくなっています。
勤怠管理システムを活用すれば、計算にかかる時間を大幅に削減できます。手間のかかるシフト作成も容易に出来る上、勤怠情報の一元管理が可能です。給与計算システムとの連携ができるものもあるため、勤怠管理担当者の負担を大幅に軽減できるでしょう。
2:オンラインを導入し気軽に家族との面会を実現
パソコンやタブレットを活用したオンライン面会を導入することで、利用者と家族との面会を実現できます。
オンライン面会は、面会者の利便性を向上させるだけでなく、スタッフの業務軽減や感染症対策にも役立ちます。入所者のストレスや不安を取り除き、精神的な安定を促す効果も期待できるため、オンライン面会を導入する事業所も増えてきました。
介護施設でオンライン面会は行うときは、操作が簡単なツールを選ぶのがポイントです。企業が行うのと違い、誰でも扱えるようなものが良いでしょう。使い方がシンプルな方が、職員もサポートしやすく手間をとることも少なくなります。
3:見守りシステムを導入しスタッフの迅速対応を可能に
見守りシステムを導入すれば、スタッフの迅速な対応を可能にします。
見守りシステムは、利用者の部屋に各種センサーを設置し、利用者の様子や情報を職員やスタッフに知らせるシステムです。
見守りシステムの活用は、利用者を見守るだけでなく職員の業務負担を軽減できます。職員数の少ない事業所などは、夜間の見守りに効果を発揮するでしょう。利用者の状況をリアルタイムに把握できるため、転倒や転落など事故の防止にもつながります。最適なケアを迅速に行うことができれば、利用者や家族へ安心感を与えられるでしょう。
介護施設のIT化の導入手順を詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
介護記録を電子化するメリット・デメリット3選を解説!導入手順も紹介
介護現場のIT化を成功させるための重要ポイント
介護現場でIT化を成功させるには、どのような点を重視すると良いのでしょうか。ここでは、介護現場でIT化を成功させるためのポイントを解説します。
IT化を成功させるためのポイント
- 現場の解決したいポイントを明確にする
- 利用する場面を具体的に確認する
- 介護システムのサポート体制を重視する
- 介護職員への研修期間を長めに確保する
- IT導入補助金・ICT導入支援事業を活用する
近年、IT化を進める事業所は増えていますが、導入したもののうまく活用できていないというケースも見られます。失敗をしないためにも、上記のポイントをおさえて進めていくことが重要です。
現場の解決したいポイントを明確にする
IT化を進める第一歩として、現場の解決したいポイントを明確にしましょう。事業所が抱えている課題を明らかにすることが、IT化導入の目的となります。
たとえば、介護事業所の課題や目的には下記のような例が挙げられます。
- 紙の記録が多く、事務作業に時間がかかる
- 過去の記録の確認がすぐにできない
- サービス提供の記録は事業所に戻って行うため、残業が多い
- 施設内の情報共有ができていない
- シフト作成や勤怠管理に時間がかかる
- 見守りシステムを導入して事故を防止したい
- オンライン面会を導入し、介護の質を向上したい
上記のように、事業所によって課題や目的はさまざまです。まずは、解決したい部分を洗い出すことから始めてみてください。
利用する場面を具体的に確認する
利用する場面を具体的に確認することもIT化を成功させるために必要なポイントです。まず、どのような場所でどういった使用をすれば業務の効率化ができるかを確認しましょう。
近年は、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットといったモバイル端末を活用し、業務を効率化する事業所も増えています。
記録業務に時間がかかっているのであれば、訪問先で入力できるタブレットと記録ソフトを導入することで効率化が実現できます。記録時間を削減できるだけでなく、一度の入力でデータを一元管理できるため情報共有も可能です。
また、夜間の見守りの負担が多い事業所では、見守りシステムを導入し、利用者の状態やバイタルなどを可視化することで介護職員の負担軽減ができます。
介護システムのサポート体制を重視する
介護システムのサポート体制を重視することも、IT化を成功させるためのポイントです。
事業所によっては、ITスキルや知識がある人が必ずしもいるとは限りません。特に初めて使用するシステムは、使い方がわからず戸惑ってしまうこともあるでしょう。
そのような時に頼りになるのが、介護システムのサポートです。介護システムのサポート内容や対応方法は会社で異なります。導入する際は、システムの機能や特長だけでなく、トラブルが発生したときの連絡手段や対応スピードなどもしっかり確認しましょう。
介護記録ソフトは多くのメーカーで無料体験やデモンストレーションを実施していますので、実際の使用感を確認する事も重要です。
介護職員への研修期間を長めに確保する
IT化をスムーズに導入するためにはシステムを使いこなす必要があり、介護職員への研修期間を長めに確保することが求められます。アナログな作業で事務処理を行っている施設の場合、パソコンやITに苦手意識や抵抗感を持っている職員がいることも珍しくありません。
IT化に拒否反応を示す場合も考えて、計画段階からIT化を行う目的やメリットを説明し、職員の理解を得て実施することが望ましいでしょう。
施設で知識がある職員が率先して新システムの操作方法を学び、スタッフに共有するのも効果的です。個人情報保護の扱いや情報漏洩に関する知識も必要なため、定期的に勉強会や研修を実施し、スキルの向上に努めましょう。
IT導入補助金・ICT導入支援事業を活用する
ITの導入には多額の費用がかかるため、IT導入補助金やICT導入支援事業を活用しましょう。これらの補助金を活用することで、導入コストの負担が軽減できます。
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者向けにITツールの導入に必要な費用の一部を補助する制度で、介護事業所も対象となります。介護分野でも従業員数や資本金など要件を満たせば補助を受けることが可能です。
(参照):IT導入補助金
(参照):IT導入補助金公募要領
また、IT導入補助金以外にも厚労省が主導するICT導入支援事業の補助金が利用可能です。この事業は、介護事業所がICTの導入により業務を効率化し、介護サービスの質を向上させることを目的としています。
介護ICT導入支援事業補助金は自治体で対象要件や申請期間などが異なります。早めに締め切られてしまうこともあるため、自治体のホームページ等で確認してみてください。
(参照):厚生労働省介護テクノロジーの利用促進
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介護現場のIT化は、業務効率化やサービスの質の向上など多くのメリットが期待できます。しかし、どのシステムが事業所に最適かどうか判断するのが難しいと感じる方も多いでしょう。
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まとめ
本記事では、介護事業所のIT化の必要性及びIT化を成功させるためのポイントについて紹介しました。
今後、介護現場でのIT化はますます進んでいくことが予想されます。介護現場のIT化で業務が効率化すれば、働きやすい職場環境が実現します。IT化により職員の負担が軽減し、利用者に満足のいく介護サービスを提供できるでしょう。
介護現場のIT化でお悩みの方は、シエノワにぜひご相談ください。シエノワは介護業界向けに特化したシステムを提供しています。シエノワのシステムを活用して、業務の効率化、質のよい介護サービスを実現しましょう。
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