介護にIoTを導入するメリットとデメリット!事例と導入のポイントを解説
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介護の現場の多くで、慢性的な人手不足による介護サービスの質の低下や労働環境の悪化など多くの課題を抱えています。
そこで、最近ではIoT機器を介護現場で活用することで、これらの問題を解決しようという取組みが進んでいます。
この記事では、介護にIoTを導入するメリットとデメリット、導入を成功させるときに気を付けるべきポイントについて詳しく解説しました。
介護現場にIoT技術を効果的に持ち込むことで、業務を効率化し質の高いケアを目指しましょう。
目次
介護業界におけるIoTとは
IoT(Internet of Things)とは、家電や自動車など「モノ」に通信機能を持たせてインターネット上の情報網につなげ、相互に情報交換する仕組みです。
介護業界においても、IoTは介護サービスの質の向上と業務効率化を目指す技術として期待されています。
IoTやICT(情報通信技術)を使えば、IoTセンサーやデバイスを介して情報を収集・分析し、リアルタイムで利用者の状況を把握することが可能です。
例えば、見守りシステムで利用者の状況を遠隔で監視し、異常があれば即座に対応できます。
また、自動化された記録システムや介護ロボットを利用し、介護スタッフの負担を軽減することで介護の質も向上するのです。
慢性的な人手不足が深刻な介護現場で、IoTの導入は不可欠でしょう。
介護現場にIoT導入が推奨される背景
介護業界において、IoT導入が推奨される背景には、深刻な人手不足があります。
厚生労働省によると、今後、介護市場規模が拡大し、2026年度には約240万人(6.3万人/年)、2040年度には272万人(3.2万人/年)の介護職員を確保する必要があるとの見通しです。※()内は2022年度(215万人)比
しかし、介護現場での職員の負担は過重で、勤続3年未満での離職が6割を超え、特に小規模の事業所ほど離職率が大きいという問題を抱えています。
この状態を背景に、介護業務を効率化するIoT機器の市場規模は、急速に拡大しています。2020年には高齢者見守り・緊急通報サービスの市場規模は約262億円でしたが、2030年には381億円に達すると予測されました。
人手不足や業務過多による介護サービスの質の低下を防ぐためにも、企業におけるIoTの推進は必然といえます。
参考:厚生労働省|第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について
参考:SEED PLANNING|2021年版高齢者見守り・緊急通報サービス 市場動向とニーズ調査
介護現場でIoTが担う役割と可能性
介護現場におけるIoTの導入により、業務の効率化とサービスの質の向上が期待できます。
例えば、介護センサーや見守りシステムを導入することで、高感度センサーで利用者の様子をリアルタイムで把握し、緊急時にも迅速に対応できるでしょう。
また、介護ロボットやベッドセンサーを用いた排泄支援システムなどの導入により、介護スタッフの業務の負担を軽減し、介護の質を向上させることも可能です。
さらに、スタッフ間での情報共有が円滑になるため、コミュニケーションが強化され、ミス防止に大きく寄与するでしょう。
このように、IoTの導入で人手不足の解消や介護現場の円滑な業務の流れを促進する可能性が期待されています。
介護現場での情報共有の課題点や効率化について、より詳しく知りたい方は下記の記事をぜひ参考にしてください。
介護現場での情報共有の大切さとは?課題点や効率化できる方法をご紹介
介護現場にIoTを導入するメリット3選
介護現場に、実際にIoTを導入することで得られるメリットはどのようなものでしょうか。主なメリットは以下の3つです。
- 介護スタッフの定着率をアップする
- 介護サービスの質の向上が図れる
- 緊急時の対応を迅速化できる
介護スタッフの定着率がアップする
介護現場にIoT技術を導入することで、介護スタッフの定着率が向上することが期待できます。
IoT技術により介護負担が軽減するので、介護スタッフの過重労働やストレスが減少し、働きやすい環境が整うからです。
センサーや見守りシステムを利用することで、リアルタイムで利用者の状態を把握でき、異常があれば即座に通知されます。これにより、スタッフが常に現場にいる必要がなくなり、労働時間の短縮にもつながります。
また、情報の共有がスムーズになるので、スタッフ間のコミュニケーションが取りやすくなり、働きやすい職場環境が整うでしょう。
安心して働ける職場環境が整うことで、介護スタッフの定着率がアップし、長期的な人材確保が可能になります。
介護サービスの質の向上が図れる
IoT技術を介護現場に導入することで、介護サービスの質の向上が期待できるでしょう。
センサーやモニタリングを活用することで、利用者に異常が発生した際に即座に対応でき、利用者の安心につながります。
さまざまなIoT技術により介護スタッフの業務負担が軽減されるため、利用者1人ひとりに丁寧なケアを提供できるでしょう。
また、情報共有システムを導入することで、利用者の状態やケアプランの変更など重要な事項がいち早く共有されるので、質の良い介護サービスが提供できます。
このように、IoT技術の導入は介護現場における介護サービスの質の向上に大きく貢献するでしょう。
緊急時の対応を迅速化できる
IoT技術の導入により、緊急時の対応が迅速化できることも大きなメリットです。
介護の見守りは24時間体制ですが、多くの施設では夜間などに少人数で対応しなければなりません。IoTセンサーを活用することで、利用者の近くにいなくてもアラートにより緊急事態に気づき、素早い対応や処置が可能になります。
また、情報共有システムを使えば、利用者のさまざまな状況を事前に把握できるので、緊急時の人為的なミスを排除できます。
迅速な対応が可能になることで、利用者の満足度も上がり、良好なコミュニケーションを維持することができるでしょう。
介護現場にIoTを導入するデメリット3選
IoTを導入することで、さまざまなメリットがありますが、一方でデメリットもあります。
主なデメリットは次の3つです。
- 導入費用と維持費がかかる
- 職員全員の機器への理解が難しい
- 個人情報の漏洩のリスクがある
これらの課題について考え、解決策を見ていきましょう。
導入費用と維持費がかかる
介護現場にIoTを導入するには、初期費用や維持費が高額になることがあります。
高性能なセンサーや介護ロボットの導入には多額な費用が必要になり、定期的なメンテナンスやソフトウエアのアップデートなどの維持費も必要だからです。
費用面のサポートとして、後述する、国や自治体が提供する補助金制度を利用することもおすすめです。
IoT機器の導入に当たっては、施設にとって必要な機器かどうか、またその費用対効果を慎重に検討し、適切な予算計画を立てましょう。
職員全員の機器への理解が難しい
IoT機器を導入するには、職員全員が操作方法やデータの活用方法を理解できなくてはなりません。しかし、高齢の職員やITに不慣れな職員が新しい機器を使いこなすのは大変です。
IoTの仕組みや操作に関する知識が十分でないと、IoT機器導入の確かな効果が得られません。
そこで、IoT機器に関する研修やトレーニングを継続的に行うことが大切になってきます。
職員全員に理解してもらうには時間がかかります。操作に慣れたスタッフを育成したり、早めに説明会を設けたりなどの対策が必要でしょう。
個人情報の漏洩のリスクがある
IoTを導入する際には、個人情報の取扱いに十分な注意が必要です。
IoTはインターネットに接続することで利便性が上がりますが、セキュリティ対策が不十分だと個人情報が漏洩するリスクがあります。
強固なパスワードの設定や定期的なソフトウェアの更新などを行い、サイバー攻撃の標的になることを防ぎましょう。これにより、個人情報の漏洩など重大な事故が起こることを避けることができます。
また、IoTを導入する際には、利用者だけでなく家族にも説明し、同意と理解を得ながら進めていくことが重要です。
介護現場でIoTシステムを成功させるポイント
介護現場へのIoT導入で、業務の効率化やサービスの質の向上に大きな期待が持てることを見てきました。
このIoT導入を成功させるには、次の3つのポイントがあります。
- 現場の実際の課題や悩みをシステム化する
- 業界の成功事例にたくさん触れる
- システム導入後の費用対効果について知る
現場の実際の課題や悩みをシステム化する
まず、介護現場の実際の課題や悩みを明確にし、それを解決できるシステムを導入することが大切です。むやみに導入しても効果が期待できません。
例えば、人手不足や介護サービスの質の低下が課題であれば、見守りシステムや介護ロボット、排泄支援システムなどが候補に上ります。
次に、導入する機器やシステムの設置場所、実践方法、スタッフの配置などを具体的に計画していきます。
システムの運用後も、利用者やスタッフの意見を取り入れ、必要に応じて改善しシステムの最適化を図りましょう。
業界の成功事例にたくさん触れる
介護現場にIoTを導入する際は、同業界の成功事例にたくさん触れることが重要です。
例えば、見守りシステムを導入し遠隔で利用者の状態を把握し、スタッフの負担を軽減している事例があります。
また、介護ロボットを活用してスタッフの肉体的な負担を減らしている事例も多く見受けられます。
成功事例をたくさん見ることで、具体的な導入方法やどのような効果があるのかをイメージしやすくなります。
これらの成功事例を参考にしながら、自らの施設に適したIoT技術を実際に導入していきましょう。
システム導入後の費用対効果について知る
IoT機器導入の初期費用や維持費がかかりますが、システム導入後の費用対効果を考慮することが重要です。
見守りシステムや介護ロボットを導入することで、スタッフの残業時間短縮や業務の効率化が進み、スタッフの定着率が向上します。
また、2024年の介護報酬改定では、見守り機器などの導入が加算の対象となりました。
国や地方自治体が実施している補助金制度として、「介護テクノロジー導入支援事業」(予算規模137億円)、「介護サービス事業者の生産性向上や協働化等を通じた職場環境改善事業」(予算規模351億円)などがあります。
これらの制度を利用することで、初期費用や維持費の負担を軽減できます。
IoT機器の導入は、業務の効率化やサービスの向上をもたらし、費用対効果が高い投資といえるでしょう。
参照:厚生労働省|令和6年介護報酬改定における改定事項について
参照:厚生労働省|介護テクノロジー導入支援事業、介護サービス事業者の生産性向上や協働化を通じた職場環境改善事業
介護現場におけるIoTの代表的な活用事例
介護現場へのIoTの導入事例として、下記の事例が挙げられます。
- 見守りシステムを導入
- 服薬支援システムを導入
- 事務や記録業務の支援システムを導入
それぞれ詳しく説明していきましょう。
見守りシステムを導入
見守りシステムは、介護現場でもっとも導入されているシステムで、介護の見守り負担を軽減します。
このシステムは、高感度センサーを使用して室内の状態や利用者の体の動き、脈拍などのデータを収集し管理者に通知します。介護スタッフはリアルタイムのデータを基に利用者の状況を把握するので、ケアが必要な時に迅速に提供することが可能です。
さらに、ベッドや壁に取り付けたセンサーやカメラを通じて、利用者の動きをリアルタイムで監視できます。例えば、ベッドからのずり落ちや危険な行動を検知すると、即座にアラートが送られるので、事故のリスクを大幅に減少できるのです。
見守りシステムを導入することで、スタッフの夜間の巡回にかかる時間や利用者の異常に気づくまでの時間を短縮できます。
介護スタッフの業務や精神面での負担も軽減され、介護離職を防ぐ効果も期待できるでしょう。
服薬支援システムを導入
服薬支援システムは、利用者が正確に薬を服用できるようサポートするためのシステムです。
北海道十勝総合振興局の調査によると、介護施設での事故における誤薬の割合は約30%になります。一般的に、誤薬の主な原因は利用者の取り違え、薬の取り違えなどです。
服役支援システムは、QRコードやバーコードをスキャンして薬の種類や服用量を確認し、誤薬を防止します。また、服薬の記録はデータとして保存されるので、利用者の取り違えや薬の飲み忘れといったミスを防げます。
このシステムは、特に認知症の方や多くの薬を服用する方にとって非常に有効です。
服薬支援システムを活用することで、効率的な服薬作業が可能になるので、介護スタッフの負担も軽減できるでしょう。
参考:北海道十勝総合振興局|障害者支援施設等事故報告集計・分析結果
事務や記録業務の支援システムを導入
事務や記録業務の支援システムは、事務作業や書類作業などの負担を軽減するためのシステムです。
介護施設では、利用者へ提供したサービスの記録、事務作業などが膨大にあります。慢性的な人手不足もあり、これらの業務の負担が、利用者へのケアの質に影響を及ぼしかねません。
事務や記録業務の支援システムでは、IoT技術を活用し、利用者のデータを自動で収集・管理します。デジタル化されているため、どこでも記録を入力でき、利用者の介護に対する資料の共有がスムーズです。
事務や記録業務の支援システムを活用することで、業務が効率化され、介護現場の負担が軽減されるため介護の質が向上します。
支援システムは種類も多く迷われる方も多いでしょう。どれを選べばいいか迷ったときは、介護支援システム「シエノワ」がオススメです。
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介護記録を電子化するメリット・デメリットについて、より詳しく知りたい方は下記の記事もぜひ参考にしてください。
介護記録を電子化するメリット・デメリット3選を解説!導入手順も紹介
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シフト制で働く職員同士の情報共有も簡単になり、トラブルや事故のリスクを減らせます。
また、利用者にとっても、タイムライン閲覧により、他の利用者の利用状況や抱える悩みなどの閲覧ができ安心感を得られるでしょう。
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まとめ
現在介護現場では、慢性的な人手不足や労働環境の悪化など多くの課題を抱えています。
これらの課題を解決して質の良い介護サービスを提供するためには、IoT技術の活用が不可欠です。
この記事では、介護にIoTを導入するメリットとデメリット、事例と導入を成功させるためのポイントを詳しく解説しました。
介護支援システム「シエノワ」を活用すれば、介護現場でのさまざまな情報共有が簡単になります。
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