訪問介護記録の書き方|押さえておきたい6つのポイントと具体例
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訪問介護記録は、利用者の状態を正確に把握し、介護サービスの質を維持するために不可欠です。
「どのように書けばいいかわからない」「つい記録するのが後回しになってしまう」という悩みも多いのではないでしょうか。
この記事では、訪問介護記録の書き方について、重要な6つのポイントと具体的な事例を交えて詳しく解説します。
効率的な記録作成により、質の良い介護サービスとスムーズな情報共有が可能になります。
目次
訪問介護記録とは
訪問介護記録は、訪問介護スタッフが利用者の自宅を訪問した際に、どのような介護サービスを提供したかを記録するものです。
介護保険法に基づき、介護サービス提供時の介護記録を作成・保存することが義務付けられています。これは、デイサービスや訪問介護、グループホームなどの形態を問いません。
介護記録は、ケア日誌、連絡ノートとも呼ばれ、サービス提供の日時や利用者の状態、サービス内容、担当者の名前などを記入します。しかし記録する媒体に決まりはなく、手書きだけでなくパソコン、スマホなどに直接記入することも多くなってきました。
これらの記録は、利用者一人ひとりのニーズに応じたケアを提供し、安心・安全な介護環境を実現するための基盤となります。正確な記録と適切な管理が、質の高い介護サービスを支えるポイントです。
訪問介護記録を作成する目的4選
訪問介護記録の作成目的を、以下の4つの観点から説明していきます。
①介護職員同士の情報共有
②利用者のご家族への情報共有
③事故発生時の証拠
④サービスの向上
①介護職員同士の情報共有
訪問介護記録は、介護者同士の情報共有に重要な役割を果たします。
利用者には、複数の介護職員や管理栄養士、医療従事者などさまざまな人が関わります。利用者の情報が明確に記録されることで、利用者の健康状態やケアの内容を正確に共有できるのです。
例えば、前回の訪問で特定の健康問題があった場合、どのような対応策がとられたかが記録されていれば、次の職員はその情報を基に対応できます。 情報共有が十分にされないと、利用者に適切なケアが提供されないリスクが高まります。
全ての職員が適切な記録を残し、情報をしっかり共有することが、質の高いケアを持続的に提供するために必要です。
②利用者のご家族への情報共有
訪問介護記録は、利用者のご家族にとっても重要です。記録を通じて、家族は利用者の毎日の様子や行動を確認でき、安心感が得られます。
例えば、どんなケアが行われたのか、健康状態に変化があったのかを記録から確認できます。これにより、家族からの質問にも適切に答えることが可能です。家族は介護サービスについて理解を深め、介護士との信頼関係を築くことができます。
しかし、記録が不十分だと、家族は利用者のケアに不安を感じるかもしれません。定期的な記録を家族と共有し、密なコミュニケーションを取ることが大切です。
③事故発生時の証拠
訪問介護記録は、事故が起きたときの証拠としても重要です。記録があれば、事故原因や経緯を明らかにするための資料となります。
万が一、訴訟に発展した時も、適切な対応記録があれば、法的な証拠として役立ちます。
事故状況、種類、利用者の反応、対応策などを詳しく記録する必要があります。
④サービスの向上
訪問介護記録は、利用者に提供するサービスの質を高めるためにも役立ちます。記録を通じて、1人ひとりの利用者のニーズや健康状態を詳しく把握できるため、個別に対応したケアが可能になるのです。
また、定期的に記録を見直すことで、ケアの方法や内容を改善し、より質の高いサービスを提供できます。
記録が不十分だと、利用者に合わないケアをし続けてしまうリスクがあります。適切な記録とその活用により、利用者に最適なケアを提供し、サービスの質を向上させましょう。
訪問介護記録の書き方4選
効果的な記録の書き方を、以下の4つのポイントに絞って解説します。
①介護記録作成者・作成日付
②利用者の健康状態
③利用者のお名前
④介護サービス内容
①介護記録作成者・作成日付
訪問介護の記録において、作成者と作成日付の記載は非常に重要です。これにより、誰がいつ記録を作成したのかが明確になり、責任の所在がはっきりします。
記録作成者は、訪問介護員の名前をフルネームで記載し、作成日付は「2024年〇月〇〇日〇〇時〇〇分」のように具体的に記載します。これにより、後から見返した際に、記録の信頼性と正確性が保証されます。
また、複数の介護員が関わる場合でも、誰がいつどの部分を担当したのかが一目でわかるため、情報共有がスムーズです。
さらに、法的な観点からも、正確な記録は重要です。例えば、事故やトラブルが発生した際に、記録作成者と作成日付の記載がされていれば、どの時点で何が行われたのかを正確に追跡できるからです。
②利用者の健康状態
利用者の健康状態の記録は、訪問介護において最も重要な部分の一つです。健康状態の変化を詳細に記録することで、介護員や医療スタッフが適切に対応できます。
例えば、バイタルサイン(体温、血圧、脈拍、呼吸)の測定結果や、食欲、睡眠状態、排せつの状況などを具体的に記載します。平常値を知るためにも、同じ条件で測定することが大切です。
また、利用者を注意深く観察し、普段と異なる異常がないかも記録しましょう。これにより、健康状態の変化を早期に発見し、適切な医療を受けることができます。
さらに、健康状態の記録は、他の介護員や医療スタッフとの情報共有にも役立ちます。前回の訪問時に記録された健康情報をもとに、次回の訪問時に適切なケアを提供できるからです。
③利用者のお名前
訪問介護の記録には、利用者のお名前を正確に記載することが求められます。
もし間違ったお名前を記入すると、他の介護者や医療スタッフが誤った処置を行うなど、利用者の命や健康を危険にさらす恐れがあるからです。
例えば、特定の利用者に対する特別なケアや注意点が記録されている場合、その情報をもとに適切な対応が可能です。
さらに、利用者のお名前を記載することで、法的な観点からも記録の信頼性が高まります。介護報酬の請求や、事故が発生した際の証拠としても役立ちます。
④介護サービス内容
訪問介護記録には、提供したサービス内容を具体的に記載することが重要です。
身体介護(入浴、排泄、食事介助など)や生活援助(掃除、洗濯、買い物など)の内容を具体的に記載します。
例えば、入浴の場合は入浴時間や入浴時の様子、どのように介護したかなどを記載します。衣類を脱いだ際の皮膚や身体の状況で気になることも記録しましょう。
食事介助の場合は、食事の時間や食事量、水分摂取量、食事の際の様子なども記載します。水分摂取量の記載は脱水症状に陥らないためにも重要です。
また、サービス提供の際に観察された利用者の反応や、特別な注意点も記録に含めることで、次回の訪問時に適切なケアを提供できます。
訪問介護記録の例文
訪問介護記録は、5W1Hに沿って分かりやすく記載します。
入浴時の記録例
5/21 10:00
入浴介助を行う。入浴前にバイタルサインを確認。血圧120/80、脈拍72、体温36.4°C 洗髪、洗身を行う。その後スタッフが体を支えながら約10分入浴される。入浴後、皮膚の状態を確認したところ、異常は見られなかった。
トラブル場面での記録例
6/05 15:00
訪問した際、Bさんが、ベッド脇で尻もちをついた状態でじっとされていた。「大丈夫ですか」と声をかけると「ベッドから出て、リビングでお茶を飲もうとしてふらついてしまった」と答えられた。念のため打撲の有無を確認したが、異常はなく「痛みはない」とのこと。介護リーダーに報告、ケアマネジャー経由で主治医に連絡してもらう。
介護記録は、利用者一人ひとりに作成するため、時間がかかり介護職員の負担が大きい業務です。
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訪問介護記録を作成する際の6つのポイント
介護記録を効率よく作成するための6つのポイントを解説します。
①常にメモに記載する
②5W1Hを意識して書く
③あいまいなことは記載しない
④客観的事実を記載する
⑤テンプレートを作成する
⑥小さな変化に気づく
①常にメモに記載する
利用者の状態や提供したサービスをメモに残すことが大切です。
食事量、薬の摂取、印象的な会話など気づいたことを都度メモしましょう。正確な情報を記録することは、後で詳細な介護記録を作成する場合や他の介護スタッフとの情報共有に役立ちます。
利用者の体調の変化を見逃さないように、メモを持ち歩き、すぐ記録するようにしましょう。
②5W1Hを意識して書く
訪問介護記録を書く際に、5W1H「when(いつ)」「where(どこで)」「who(誰が)」「what(何を)」「why(なぜ)」「how(どのように)」を意識することが大切です。
5W1Hは、情報を分かりやすく簡潔に記載したいときに便利な構成です。5W1Hをしっかり記載することで、状況や物事を明確かつ具体的に伝えることができます。
介護者の主観を記載するのではなく、利用者が何をしてどうだったのかを伝えることが大切です。
また、5W1Hを意識した訪問介護記録により、他のスタッフも利用者の状況を正確に把握できるようになります。
③あいまいなことは記載しない
介護記録には、あいまいな表現を避け、具体的な事実のみを記載することが求められます。
例えば、「少し熱があった。」ではなく「37.4度の熱があった。」、「夕食をほとんど食べなかった。」ではなく「夕食はご飯を2,3口しか食べず『食欲がない』と言い箸を置いた。」など、具体的な状況を記録します。正確な記録は、他のスタッフが適切な対応を取るための参考になるからです。
あいまいな表現は誤解を招く可能性があります。できるだけ具体的な事実を正確に記載しましょう。利用者の主観的な感想も記録に含めると、より詳細な情報を提供できます。
④客観的事実を記載する
介護記録には、主観的な感想や推測を避け、客観的な事実を記載することが重要です。
例えば、「食事を完食した」「上着を着るとき右袖を通すのに時間がかかった」など、観察した事実をそのまま記録します。これにより、記録の信頼性が高まり、他のスタッフや関係者が正確な情報を共有できます。
⑤テンプレートを作成する
介護記録の効率化と一貫性を保つために、テンプレートを作成すると便利です。
テンプレートを使用することで、記録の漏れや書き忘れを防ぎ、必要な情報を網羅的に記載できます。無料でダウンロードできるテンプレートもあるので、とりあえず試してもいいでしょう。
テンプレートを使うことで、記録作成の時間を短縮し、他の業務に集中する時間を確保できます。
例えば、テンプレートに利用者の基本情報、日々の体調、食事の摂取量、薬の服用状況などを記載する項目をあらかじめ設定しておくことで、記録作成がスムーズになります。
⑥小さな変化に気づく
利用者の状態や行動の小さな変化に気づくことが、質の高い介護記録を作成するためのポイントです。
例えば、食欲の変化や歩行の様子、表情の変化など、日常の些細な変化を見逃さずに記録することで、早期に問題を発見し、適切な対応を取ることができます。
小さな変化を見逃さないためには、日々の観察を怠らず、利用者とのコミュニケーションを大切にすることが重要です。
また、変化に気づいた際には、すぐに記録し、他のスタッフと情報を共有しましょう。チーム全体で適切な対応を取ることができます。
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また、利用者にとっても、タイムライン閲覧により、他の利用者の利用状況や抱える悩みなどの閲覧ができ安心感を得られるでしょう。
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まとめ
訪問介護記録は法的に義務付けられているだけでなく、介護職員間での情報共有や利用者、ご家族とのコミュニケーションを深める上でも不可欠なものです。
しかし、訪問介護記録は利用者一人ひとりに日々作成するため、時間がかかり負担が大きい仕事の一つであることは否めません。
この記事では、訪問介護記録の書き方、押さえるべきポイントを6つに絞って詳しく説明しました。
介護記録は正確さを求められる重要な業務の一つですが、時間がかかる業務です。職員の業務負担を改善するためにも効率化を考えることが大切です。
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